配送ドライバーを軽視？ コロナ禍で人気の「ネットスーパー」がドタキャン連発、キャンセル料すら払わない現実が明らかに

ネットスーパーは配送料が低い分野

　なるほど、言い方は難しいが大手スーパーのわりに賢（さか）しい手口を考えたものだ。元々、軽貨物マッチングアプリそのものは小さな会社や個人の「ちょっと運んでほしい」をかなえるためのサービスだったが、その便利さとマッチングの効率の良さから一部の大手企業にうまく利用されてしまっているということだろうか。

　このシステム、コストダウン名目なら案件次第ではこれまでのキャンセル料や待機時間料といった「コスト」を払わなくてもいい。筆者はこうしたことに「コスト」という言葉を使うのは本来嫌いで、物流上は「必要経費」だと思うのだが、企業や担当者によっては必要経費をコストと捉える残念な人たちがいる。今回の件もその類いといって差し支えないだろう。

「ネットスーパーは一番配送料の低い分野ですから、ギリギリでやっている苦労はわかるのですが、決めることなく引っ張って案件のキャンセル、というずるい方法でドライバーの大切な時間を奪うのはいかがなものかと思うのです」

　そのマッチングアプリのサポートに電話をしてみても「ご自身でスケジュールに見合わないと思った段階でキャンセルしてください」とのことで、サービス提供会社からすればあくまでマッチングのアプリを提供しているだけという体で、特に問題はないという姿勢なのだろう。これは、同様のシステムを採用している大手フードデリバリーサービスと似たような対応だ。もっともな話だが、信用という点ではどうだろうか。

「他にも案件は出ますが、こうしたキャンセルも多く信用はできませんね。最近は案件によっては（決める）時間が早くなったとも仲間から聞きますが、何十回もキャンセルが続いたなんて話を聞くと、当初の利用者の中にも離れる配送員が出てきています。それにエントリーをキャンセルするとスコア（アプリ側から見た信用度のようなもの）が下がるとのうわさもあり、ちょっと様子を見ようか、となってしまいます」