絶賛された“神機能”はなぜ7年で姿を消したのか? 「ステップワゴン」から始まる空間価値のアップデート、なぜ支持は割れたのか
国内累計30万台を突破したホンダ・ステップワゴン。市場の同質化を打破する「わくわくゲート」は、10kgの重量増や左右非対称デザインへの敬遠から、わずか7年で廃止された。手堅い箱型へと回帰した戦略的撤退の裏側には、美意識と効率化が衝突するモノ作りの難題と、未来のモビリティへの布石がある。
堅実な箱への回帰と未来の財産

ホンダは2020年1月9日の一部改良でわくわくゲートを設定しないグレードを投入し、マジョリティへの歩み寄りを見せた。そして2022年登場の6代目ステップワゴンではこの仕組みを廃止し、広く受け入れられる
「四角く、左右対称なキレイな箱」
へと戻している。競争の激しいミニバン市場で手堅く数を売り、ビジネスの足場を固めるための現実的な選択である。
かつて初代ステップワゴンが、商用車ベースが当たり前だった時代に乗用車由来の低床パッケージで新市場を切り拓いたように、ホンダの真骨頂は
「常識にとらわれない提案」
にある。実際、市場からは「わくわくゲートなしの生活は考えられない」と惜しむ声も上がっており、乗る人の暮らしに深く溶け込んでいたことが窺える。
量販車を作る以上、見た目や生産性、市場の最大公約数を満たす必要がある。廃止も全体バランスを考え抜いた結果だ。しかし、狭い場所でのアクセスを向上させるという挑戦のアイデアが消えたわけではない。
今後、電気自動車への移行による床のフラット化や、自動運転の普及でシート配置が自由になる中、あのユニークなドアで蓄積された空間活用のノウハウは大きな財産となる。常識を疑い新たな利便性を形にするホンダの試みは、変革期を迎えたモビリティの未来へ向けて、形を変えながらしっかりと繋がっているのだ。