キッチンカーにはなぜ自然と列ができるのか? 「7割超」が予定外に買ってしまう根本理由

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移動販売車で「予定外の買い物」をした人は70.3%。キッチンカーの広がりは、飲食ブームではなく、人の流れに合わせて売り場が動く時代の始まりを映す。車は今、物流の枠を越え、地域の消費とサービスを支える存在へ役割を広げている。

惹かれて購入7割の衝撃

キッチンカー(画像:写真AC)
キッチンカー(画像:写真AC)

 昼どきのオフィス街。一台のキッチンカーが放つ存在感は、そこを通る人々の足取りを変える。漂う香ばしい匂いや調理の音に誘われ、いつの間にか予定になかった列ができあがる。これは、もはやこれまでの飲食店の枠には収まりきらない経済現象と呼べるかもしれない。NEXER(東京都豊島区)とグリーンオート(神奈川県大井町)が行った調査によると、移動販売車で買い物をしたことがある人は全体の35.0%にのぼる。なかでも目を引くのは、そのうちの70.3%が「特に買う予定はなかったが、移動販売車に惹かれて購入した」と答えていることだ。あらかじめ目的を決めて店を訪ねるのではなく、移動体との突発的な出会いが、新たな消費を生んでいる。

 これまで小売りの主戦場は、動かない土地の奪い合いにあった。客が店へ来ることを前提に、駅前やロードサイドといった良い場所をいかに守るかが売上を左右してきた。しかし、移動販売車はこの制約から解き放たれている。店側が人々の流れのなかへと自ら入り込んでいく。この動きは、立地という考え方を、固定されたものから流動的なものへと変えつつある。

 こうした変化は、自動車という道具の本質を、運び届ける手段から多機能な活動空間へと広げている。物流や配送といったこれまでの役割を越えて、医療や小売、オフィスといったあらゆる社会の仕組みが車に載り、サービスそのものが人々の暮らしのなかを動き始めている。キッチンカーが賑わう様子は、車が都市の機能を担う移動体へと進化していく姿を、ありのままに映し出しているのだろう。車という器そのものが集客の役割を担い、人々の心に働きかけている。

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