絶賛された“神機能”はなぜ7年で姿を消したのか? 「ステップワゴン」から始まる空間価値のアップデート、なぜ支持は割れたのか
国内累計30万台を突破したホンダ・ステップワゴン。市場の同質化を打破する「わくわくゲート」は、10kgの重量増や左右非対称デザインへの敬遠から、わずか7年で廃止された。手堅い箱型へと回帰した戦略的撤退の裏側には、美意識と効率化が衝突するモノ作りの難題と、未来のモビリティへの布石がある。
重量増と周辺市場が拒んだ普及

直面した壁は見た目の好みだけではない。車作りの潮流や周辺ビジネスへの影響といった広い課題に繋がっていた。
例えば、使いやすさを求めた結果、通常の後ろドアより10kgも重量が増した。これは軽量化や燃費向上という業界全体の目標と折り合いがつきにくい。さらに複雑な蝶番の仕組みは、必須装備となりつつある電動バックドアを組み合わせる上で技術的なハードルを高くした。
アフター市場との関係も見逃せない。ミニバンを自分好みにカスタムしたい層にとって、リアバンパーが分割された形状は厄介だった。専用パーツメーカーからすれば開発の手間が格段に増すからだ。車は手放す際の下取り価格まで含めて選ばれるため、周辺ビジネスと歩調を合わせる重要性が結果として跳ね返ってきた。
一方で、実際の利用者からの評判はすこぶる高かった。日本トレンドリサーチが2022年4月にグーネット中古車と共同実施した「好きな歴代ステップワゴン」調査では、5代目が「男性が選ぶ好きな歴代ステップワゴンランキング」第3位に入っている。
「わくわくゲートの使い勝手がよさそうだから」
という理由が挙げられており、日常の利便性を求める層には深く刺さっていた。新しい価値への挑戦と、業界全体の効率化という二つの流れがぶつかる中で、評価は二分されていたのだ。