絶賛された“神機能”はなぜ7年で姿を消したのか? 「ステップワゴン」から始まる空間価値のアップデート、なぜ支持は割れたのか
国内累計30万台を突破したホンダ・ステップワゴン。市場の同質化を打破する「わくわくゲート」は、10kgの重量増や左右非対称デザインへの敬遠から、わずか7年で廃止された。手堅い箱型へと回帰した戦略的撤退の裏側には、美意識と効率化が衝突するモノ作りの難題と、未来のモビリティへの布石がある。
画面で選別された左右非対称

使いやすさを最優先したわくわくゲートが1世代で姿を消した背景には、車選びの基準の変化がある。実用性だけでなく、所有欲を満たす見た目の良さが、購買側にとって無視できない要素になっていたのだ。
横開きドアを成立させる構造上、背面の中心からやや左に1本の縦線が入ってしまう。さらにナンバープレートの位置やリアガラス、ランプの配置に至るまで、すべてが左右非対称にならざるを得なかった。
この姿は、ネットの画像や展示車を見た層から
「バランスが悪く落ち着かない」
「すっきり見えない」
と敬遠される原因となった。スマホやSNSで初期検討を行うのが当たり前となった現代では、実物の便利さを味わう前に画面上のスタイリングだけで選別されてしまう。どれほど中身が革新的でも、毎日目にする愛車の美しさは譲れないという消費者のリアルな美意識が、機能と外観の調和というクルマ作りの新たな課題を突きつけた形だ。