「近鉄グループとの関係を保ちながら…」 なぜ三重の交通グループは3期連続の“最高益”を更新できたのか?
三重交通グループHDが3期連続の過去最高益を叩き出した。だが、1102億円の営業収益を稼ぎ出すその実態は、近鉄傘下の地域のバス会社ではない。利益の7割近くを不動産が稼ぎ出す異色の収益構造を持つ。ハンズ閉店や深刻な運転士不足によるコスト増の逆風に立ち向かう、知られざる名門上場企業の地力を解剖する。
稼ぐ不動産と運輸流通の不安要素

しかし、前述の部門別の営業収益と営業利益を見ると、それぞれの部門で稼ぐ力に差があることがわかる。営業収益に対する営業利益率は、運輸が4.7%、不動産が17.2%、流通が2.1%、レジャー・サービスが6.6%である。すべての部門で営業黒字は確保しているが、営業利益の多くは不動産の高い利益率に支えられている構造だ。
また、流通は現時点でも利益率が高くないが、2027年3月期の見通しではハンズ名古屋店の閉店の影響により2億5000万円の営業赤字を見込んでおり、安定性に欠ける状況である。
もう一点、2027年3月期の見通しで気になるのは、本業とされる運輸部門である。同社の予想では、営業収益は2.5%増の272億円となる一方、営業利益は19.4%減の10億円となる。営業収益は貸切バスの稼働率上昇や単価上昇で増えるが、営業利益は人件費の増加などにより減る見込みである。
同社に限らず、バスドライバーの不足が続く中で、人件費の増加は避けにくい状況にある。このまま増収減益が続けば、収益はあるものの利益が出にくい事業となる可能性がある。
なお同社は運転士確保の取り組みとして、2026年2月に名古屋観光営業所と楠営業所内の社員寮の建て替え工事を終えた。遠方からの応募者も受け入れやすくなり、採用機会の広がりにつながるとしている。いずれにしても、こうした費用増を今後どこまで営業収益の増加で補えるかは見通しが立ちにくい。
同社は今回の決算発表で、営業収益は5期連続で増加し、営業利益と純利益は5期連続の増加、3期連続で過去最高益となった。ただし今後の収益構造については、部門ごとに注意して見る必要があるだろう。