相次ぐ道路陥没――なぜ「25%」の市区町村で土木・建築技師がゼロなのか? 委託拡大でも修繕費が増え続ける理由
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部分最適が阻む全体連携の壁

インフラの維持が進まない理由は、制度、財政、技術の現場がそれぞればらばらに動いており、一部分だけの都合に合わせた対応にとどまっている点にある。それぞれの自治体や部局が限られた予算と人手の範囲で個別に対応しようとするほど横のつながりが薄れ、かえって工事の段取りに1年以上を費やす事態を招いている。
少子高齢化によって社会福祉の費用が膨らみ土木の予算が不足するなか、現場の職員は非常に忙しく、新しく危ない場所を見つけても計画の見直しに時間を取られる。この心の余裕のなさが役所の投資の判断を遅らせる。
予算と人員の制限がある以上、すべてのインフラを一斉に新しくすることは不可能だ。しかも自治体や道路、下水といった組織ごとに判断の仕組みがわかれているため、事故が起きたときのまわりの経済の滞りや、物の流れの麻痺といった社会全体が被る損失の大きさが共有されにくい。結果として目先の費用の負担ばかりに目が向き、本当に必要な投資が後回しになって、一部分だけでは正しい取り組みが全体としては機能しない仕組みになっている。
道路の陥没を防ぐ未来には、三つの道筋が想定される。
今のやり方を続ける道筋では、自治体のデジタル化の割合が37.2%、技術研修の受講割合が31.4%にとどまるなか、ベテラン職員の大量の退職によって維持の手入れが行き詰まる。局所的な陥没がたびたび起こり、渋滞や通行の規制が当たり前になって社会全体の生産性を引き下げる。
さらに悪くなる道筋では、財政の力と人員が限界に達した地方の自治体が、広い地域での管理やデータのやり取りに対応できず、維持ができない地域が広がる。予算が守られる都市部と、衰えが放置される地方との間でインフラの二極化が進む。
仕組みを切り替える道筋では、インフラの管理を広い地域に広げ、デジタルの統合や民間の参入を促す。事故の数や施設の数に応じて資源を柔軟に配分し、管理の漏れをなくす。政府は点検や工事の情報の3次元データを一括して管理する連携型の仕組みづくりを進めており、先回りの手入れや災害時の対応への活用を目指す。これは、市町村が持っていた管理の権限を広い地域を担う組織へ委ね、運用の枠組みを大きく変えることを意味する。