相次ぐ道路陥没――なぜ「25%」の市区町村で土木・建築技師がゼロなのか? 委託拡大でも修繕費が増え続ける理由
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予算半減と技術系職員の不足

資金と人手の不足はインフラを保つ現場を苦しめてきた。全国の市町村の土木費は、1993(平成5)年度の11.5兆円をピークに、2024年度には約6兆円とおおむね半分に減った。医療や介護、少子化対策に押され、維持のための行政の土台そのものが細り続けている。
さらに技術の職員の減少と高齢化が進み、専門の職員がひとりもいない自治体は全国の約25%にのぼる。民間に任せて質を保とうとしても、発注側の役所に仕事の見極めができる職員がいなければ外部の仕事を適切に評価できない。この知識の偏りが点検の遅れを生み、将来の修繕費用の高騰につながる。
さらに、熟練の技が次の世代に引き継がれていない。若手の減少とベテランの引退により、長年の経験や勘に頼ってきた地域特有の地盤の特徴や工事の記録といった技術の積み重ねが途絶える恐れがある。多くの退職を前にこれらをデータにして残す作業が急がれるが、その仕組みづくりが進む自治体はまだ約35%にとどまる。情報共有の遅れは技術の蓄積が消えることを招き、インフラ維持の足元を根底から崩しかねない。
役所はインフラの現場に民間企業が入りやすい環境を整えるべきだ。すべての施設を人の目で点検すれば巨額の赤字が出るため、官民が協力して費用を抑える枠組みが求められる。
そのひとつの取り組みとして、運営を民間に委ねる方式が注目されている。愛知県では有料道路でこの仕組みを取り入れ、2016年10月から前田建設工業(東京都千代田区)を中心に民間企業が資金を出し合って作った愛知道路コンセッション(愛知県半田市)が管理と運営を担う。国も「インフラメンテナンス国民会議」を立ち上げ、新しい技術を現場で使うことを後押ししてきた。
だが、利用料の収入がある地上の施設と違い、地下の下水道や生活道路は直接資金を稼ぐことが難しい。この収入の仕組みの違いを見過ごしたまま民間に頼ろうとしても市場は機能しない。
点検の現場でのドローンやAIの導入率は2割前後に留まる。ドローンは触って確かめることができず、AIの精度を高めるには膨大な学習データが必要なうえ、専門の知識を持つ人材が足りず外部の委託先に丸投げになる懸念がある。そのため昔ながらの手法に頼る現場は多い。
導入が進まない背景には、目視を前提とした古い法律や手順に縛られている問題もある。仕事の進め方の共通化や、異なるシステムの間でデータをやり取りする仕組みがないまま技術がばらばらに取り入れられているため、全国で使えるようにするにはきまりの整備も含めて時間を費やすことになる。