「私の車がスパイに?」 2500万台分の携帯通信データ収集が浮かび上がらせる、EV監視構造 英国
EV普及を背景に走行距離課税が検討されるなか、英運輸省は携帯電話データでEV利用者約2500万台を2年間追跡し、移動履歴と充電行動の把握を試みたが、精度やプライバシーを巡る懸念が浮上している。
1.2億円の調査とデータの解像度

運輸省のリポートは、プライバシーを守るために個人を割り出せる情報を削り取ったと説く。しかし、通信会社がどれほどの規模で情報を吸い上げ、それをどう扱っているのか、人々の胸中にある疑いは晴れていない。
O2の法人部門「O2 Daisy」の広報担当者は、政府に渡したデータはあくまで群衆の動きをまとめたものであり、特定の誰かを追いかけたり居場所を突き止めたりはできないと説明する。同社は、活動のすべてが法に則り、約束事に沿って進めていると主張を譲らない。
この調査には、政府の基金から60万2000ポンド(約1億2700万円)もの公金が投じられた。将来的に道路の利用料を時間や場所で変える仕組みを作ったり、電力網の負担を軽くしたりするための材料を揃える狙いがあったからだ。もっとも、最終的な結論によれば、得られた情報の精度は芳しくなかった。充電場所が具体的にどう使われているかを細かく読み解くには至らなかったようだ。
それでも、大まかな人の流れを掴むやり方としては、それなりの手応えを得たようにも見える。個人の平穏とインフラの都合がぶつかり合うなかで、国が情報の主導権を握ろうとする今の姿が、そこには映し出されている。