キッチンカーにはなぜ自然と列ができるのか? 「7割超」が予定外に買ってしまう根本理由

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移動販売車で「予定外の買い物」をした人は70.3%。キッチンカーの広がりは、飲食ブームではなく、人の流れに合わせて売り場が動く時代の始まりを映す。車は今、物流の枠を越え、地域の消費とサービスを支える存在へ役割を広げている。

偶然の出会いが生む体験価値

「移動販売車で買い物をした経験」についてのアンケート(画像:NEXER、グリーンオート)
「移動販売車で買い物をした経験」についてのアンケート(画像:NEXER、グリーンオート)

 今回の調査で目を引くのは、移動販売車を「近隣にスーパーや店舗が少なく、移動販売車が貴重な購入手段だった」とする層が8.6%に過ぎないことだ。多くの利用者は、足りないものを補う便利さを求めているわけではない。むしろ、

「そこに車が現れた」

という出来事そのものに惹きつけられている。現に、購入商品の57.1%はパンやスイーツといった嗜好品が占める。日々の暮らしに欠かせない物資というより、その場を楽しむ体験として買い求められているのだろう。

 こうした動きの裏には、移動体ならではの驚きや希少性がある。いつもの場所にずっと居座らないからこそ、

「今買わなければ次はない」

という心理が芽生え、暮らしに変化を求める欲求が刺激される。「今後販売してほしいものがある」と答えた22.9%の人々からも、クレープやアイス、異国情緒のある料理など、屋台のような特別感を求める声が目立つ。

 橋本商会(京都府京都市)が2024年8月に行った調査によると、利用頻度は「半年に1回程度」が最も多く、次に「1か月に1回程度」が続いた。毎日のおかずを買いに行く場所というより、たまに訪れる特別な楽しみとして受け入れられている。目を楽しませる工夫がSNSでの共有を呼び、外の空気のなかで味わう開放感が、心のゆとりを生んでいる側面も見逃せない。

 ただ、期待が膨らむ分、中身がともなわなかったときの落胆も無視はできない。

・味の質
・見た目の違い
・店側の振る舞い

といった要素は、客の気持ちをそいでしまう。ここでの買い物は、役目を果たすための消費ではなく、その場の空気が生む価値への関わりだ。提供する中身の質が、そのまま商売の長続きを左右する。車が人の集まる場所を見つけ出し、満足度を高めていく。そのためには、ただ動けるというだけでなく、一度きりの出会いを確かな価値へと変えていく地道な信頼作りが欠かせない。

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