4月は369万人来日、でも「レンタカー」が足りない! なぜ観光地で“車が借りられない現象”が当たり前になったのか
代車とシェアが繋ぐ移動の空白

車両の不足は、現場の知恵をこれまでとは違う次元へと引き上げているようだ。
・地方の整備工場
・事故時の代車を扱う事業者
のもとには、大型連休が近づくたびに切実な問い合わせが舞い込む。本来、故障や事故に備えて確保されているはずの保険代車にまで観光客の手が伸びている事実は、手元にある資源をいかに使い切るかという、現場の切迫した、しかし柔軟な動きを物語っている。
代車はもはや、トラブルに備えるだけの裏方ではない。需要が尖る特定の時期、事故対応という既存のインフラが観光ニーズと交差する。これまで切り離されていたふたつの領域が重なり合う現象は、地域全体で限られた車を融通し合う、よりしなやかな供給体制への移行を予感させる。現場から湧き上がるこうした適応力は、波のある需要に合わせて動的に車を配分する、新しい移動のあり方を後押ししているといえるだろう。
この変化は、レンタカーとカーシェアリングの境界さえも曖昧にしている。対面の手間がなく、すぐに借りられるカーシェアに観光客が流れ込む現状は、生活者のためのインフラが、外から来る人の足をも支える共有の基盤へ育ちつつあることを示している。空港や駅前のステーションで車がフル稼働する光景は、車両という資産が用途の枠を超え、ニーズに応じて自在に使いこなされる社会の実装を早めている。
市場の広がりは、当然ながら観光消費の姿も変えていく。これまで鉄道やバスの路線沿いに縛られがちだった旅人の流れを、カーシェアという機動力が解き放つ。地方に点在しながら、アクセスの壁に阻まれていた多様な資源に光が当たる。
移動の制約がなくなれば、飲食や宿泊、その土地ならではの体験といった消費は、地域全体へと巡り始めるだろう。二次交通の脆さを、サービス同士の連携で乗り越えていく。その動きこそが、地方経済を支える強靭な力となっていくに違いない。