4月は369万人来日、でも「レンタカー」が足りない! なぜ観光地で“車が借りられない現象”が当たり前になったのか

キーワード :
, ,
インバウンドは2026年4月に369万人、1月累計1437万人と過去最多圏に達する一方、地方ではレンタカー不足が深刻化している。沖縄では保有台数が約2万2000台から1万5000台へ減少し、需要急増に供給が追いつかない。観光回復の裏で、二次交通は「量の確保」から「稼働最適化と共有化」へ転換し、地域モビリティの再設計が進み始めている。

供給を拒むメーカーの優先戦略

レンタカーの説明をする社員のイメージ(画像:写真AC)
レンタカーの説明をする社員のイメージ(画像:写真AC)

 コロナ禍で観光の動きが止まった際、レンタカー各社は生き残るために保有車両を大きく削った。固定費を抑えるためのやむを得ない判断だったが、その影響は今も影を落としている。需要が勢いよく戻った現在も、貸し出せる車が足りない。この状況はもはや一時的な調整の遅れではなく、自動車メーカーの供給戦略そのものが変わったことを示している。

 半導体の不足が落ち着きを見せても、メーカーの視線は以前と同じ場所にはない。利益率の高い個人向け販売や高級モデルが優先され、レンタカー向けの大量販売(フリート販売)の順位は後回しにされているのが実情だ。追い打ちをかけるように車両価格も跳ね上がっており、事業者が新たな投資に踏み切るのをためらわせる要因となっている。

 具体的な数字を見れば、その深刻さがわかる。例えば沖縄県では、2019年のピーク時に約2万2000台あった登録台数が、一時期は1万5000台まで落ち込んだ。2025年から2026年にかけて回復の兆しはあるものの、急増する客足に供給が追いつかない非対称な状態は続いたままだ。

 しかし、この不足という事態は、困りごと以上の変化を業界にもたらそうとしている。これまでの規模を追う成長モデルではなく、安全技術を備えた新型車への入れ替えや、メーカーとの新たな協力関係によって、サービスそのものを磨き上げる動きが始まった。

 車両が足りないという逆風を、むしろ経営の中身を鍛え、質を高めるための好機として向き合う。そんな静かな意志が、業界全体に広がりつつある。

全てのコメントを見る