「ながらスマホ」高速道路の方が危なかった? なぜ速度を上げると12%も増えるのか? “安全そうな道”ほど注意が外れる皮肉
「渋滞時より高速走行時こそ危ない」――。60万件の走行データが、従来の安全常識を覆す実態を暴いた。速度が時速8km超過するごとにスマホ操作は12%増加。車両の進化が生む「偽りの安心」が、皮肉にもリスクを誘発している。自動車産業は今、AI検知技術を軸に、安全をデータで統治する新局面へかじを切った。
快適な走行環境が招く意識の分散

車の走りがいっそう安定し、車内が静かになったことで、かえってドライバーに過度な安心感を与え、スマートフォン操作を誘っている面がある。IIHSのイアン・レーガン氏は、交通量の少なさや歩行者のいなさ、街灯が並ぶ間隔といった道路のありようが、操作の回数に影響すると見ている。
皮肉なことに、車の流れがスムーズで安全だと感じられる状況こそが、注意を外へと向かわせるきっかけになっているようだ。こうした人の心と走る環境の関わりを解き明かすことは、これからの安全管理を考えるうえで欠かせない。
この現実は、人の目による個別の摘発に頼ってきたこれまでの取り締まりに、変化を迫っている。スピードの出し過ぎと脇見運転が重なりやすい傾向をあらかじめ掴んでおけば、ふたつの問題にまとめて手を打つ仕組みも作れるだろう。
国内の高速道路では、速度を測るシステムや覆面パトカー、車両を識別するネットワークによって厳しく見守られているが、これからは情報の合わせ技によって、さらに一歩踏み込んだ対策が期待される。円滑な環境が心に及ぼす影響をふまえ、安全の質を磨き上げていくことで、交通社会を支える取り組みは着実に広がっていくはずだ。