「返礼品 = ポルシェ」が現実に? 自治体の6割が動く、ふるさと納税“モノ離れ”の新潮流
受入額1.2兆円超と過去最高を更新したふるさと納税が、「モノ」から「移動」へ劇的な転換を見せている。ユーザーの7割が体験型に関心を寄せる中、EV貸出やタクシー周遊といった「モビリティ版」は寄付件数が2021年度比210%と急伸。地域の足を支え再訪を促す、新たな地域経済循環の最前線を追う。
復興と防災を支える支援の循環

ふるさと納税を通じた支援は、被災地の復旧や防災といった、社会の底力を高める領域へと広がっている。
日本カーシェアリング協会は、東日本大震災以来の積み重ねをもとに、2020年5月、佐賀県と協定を結んだ。寄付金を役立てて被災地を支える仕組みを整えたわけだ。佐賀県庁へ同協会を指定して寄付を行うと、その額の85%が活動費に充てられる。この資金は被災者への車の貸し出しや、地域の足を守るために使われ、現在は全国の災害現場へと届けられている。
返礼品のなかには、2019年と2021年の豪雨に見舞われた佐賀県武雄市の事業者が作る品も含まれている。寄付が移動手段を守り、それがひいては地域の経済を立て直す後押しになる。そんな流れが生まれている。
2008年の始まりから、この制度は大きくなり続けてきた。2024年度の受入額は約1兆2728億円と、過去最高を記録している。お年寄りの外出の支えから、脱炭素を見据えたEV観光、さらに有事の際の共同利用まで。モビリティという切り口によって、その役割はますます多角的になっているようだ。
移動は暮らしや観光、そして復興を支える根幹にほかならない。寄付者の選んだ一票が、地域の交通網を支え、そこでの体験が新しいつながりを生む。この循環の広がりこそが、移動を軸に据えたふるさと納税のこれからを物語っている。