ヒョンデはなぜ、日産の半分に過ぎない「50万台」を目標にしたのか? 北京モーターショーで露呈した“主導権経営”の勝算

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2026北京モーターショーは38万平方メートル規模で開催。現代自動車は中国企業と組みつつ開発主導権を維持し、日本勢は現地依存を強める。EV競争の構図は技術主権とスピードのせめぎ合いへと移る。各社の戦略差が次世代モビリティ競争の勝敗を左右する局面に入った。

筋肉質な経営への転換と再起

現代自動車のウェブサイト(画像:現代自動車)
現代自動車のウェブサイト(画像:現代自動車)

 現代自動車が2030年に向けて掲げた年間50万台という販売目標。日産が目指す100万台の半分という数字は、一見控えめにも映るが、その内実をひも解けば極めて血の通った計画であることがわかる。

 北京現代はかつて五つの工場を誇ったものの、2021年以降、第5工場を長安汽車へ、第1工場を理想汽車へと相次いで手放し、現在は3拠点まで絞り込んだ。稼働を止めている滄州工場を除けば、実質的に動く2拠点の生産能力は年間およそ60万台だ。

 2025年の販売が20万台余りに留まり、稼働率が3割程度まで冷え込んでいる現状を考えれば、50万台の達成は稼働率を8割まで戻して採算ラインを守ることを意味する。むやみに規模を追うのをやめ、重荷となった設備を切り離して利益を生む体質へと作り変える。そんな冷徹な経営判断が透けて見える。

 足元の数字に目を向けても、彼らを取り巻く空気は決して穏やかではない。2026年第1四半期の売上高は前年比3.4%増の45.9兆ウォン(約5兆円)と伸びた一方、純利益は23.6%減の2.6兆ウォン(約2844億円)という増収減益の結果に終わった。

 米国での関税を巡る動きや、出口の見えない中東情勢が、経営の肩に重くのしかかっている。それでもなお中国での立て直しを急ぐのは、現地の販売を戻すためだけではないだろう。世界でもっとも尖った技術をこの地で吸収し、それを世界展開へと繋げていく投資の側面が強い。中国を将来の成長に向けた知見を蓄える拠点と位置づけ、グループ全体の地力を底上げしていく。

 過剰な固定費を削ぎ落として筋肉質な経営へと移りながら、次世代の競争に備える。その覚悟が、今の彼らにはあるのではないか。

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