ヒョンデはなぜ、日産の半分に過ぎない「50万台」を目標にしたのか? 北京モーターショーで露呈した“主導権経営”の勝算
2026北京モーターショーは38万平方メートル規模で開催。現代自動車は中国企業と組みつつ開発主導権を維持し、日本勢は現地依存を強める。EV競争の構図は技術主権とスピードのせめぎ合いへと移る。各社の戦略差が次世代モビリティ競争の勝敗を左右する局面に入った。
独自性を貫く中国専用EV戦略

北京モーターショーの壇上に立ったホセ・ムニョス社長は、合弁相手である北京汽車と足並みを揃え、約1.7兆ウォン(約1900億円)という巨額の投資を打ち出した。今後5年で20もの車種を繰り出し、2030年までに現在の2倍を上回る年間50万台を売り上げる。
この野心的な道のりを支えるのは、やはりEVをはじめとする新エネルギー車だ。開幕に先駆けて披露された「ビーナス・コンセプト」と「アース・コンセプト」からも、その本気度がうかがえた。現代自動車はこれらを「惑星」の名で呼び、消費者を宇宙の中心に据えるという独特の考え方を示した。流行を追いかけるのではない、独自の価値を形にする「ザ・オリジン」という手法を掲げている。
「アイオニックV」の名で出展されたビーナスは、世界で知られる「アイオニック5」の歩みをさらに先へ進めたセダンだ。一方のアースは、生命力や調和を形にしたスポーツタイプ多目的車(SUV)として姿を現した。
とりわけアイオニックVに目を向けると、高度なソフトウェアを中心としたクルマづくりの姿勢が鮮明に浮かび上がる。モメンタの技術を用いた運転支援や、27inもの4K大型画面、さらにはAIによる音声対話機能を盛り込み、CATLの電池を積んで600kmを超える航続距離を叩き出した。世界中で売る車を少し手直しするのではなく、現地の市場のためだけにゼロから作り上げる。
これは、利用者の目に触れる部分や車の性格を左右する中枢をあくまで自社で抱え続け、ありふれた製品のなかに埋もれまいとする、執念に近い勝負といえるだろう。