「中国勢には負けられない」――トヨタが投じる3000億円、「カローラSUV」で築くインド“対中要塞”

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インドで年100万台体制へ。トヨタ自動車とスズキが生産・輸出・販売網を一体化し、約15.5億人のアフリカ市場を狙う。距離半減の物流優位と中古車起点の信頼を武器に、新興国主導の供給網再編が加速する。

世界規模の供給拠点へと変貌するインド

トヨタ・アーバンクルーザー・ハイライダー(画像:インド・トヨタ)
トヨタ・アーバンクルーザー・ハイライダー(画像:インド・トヨタ)

 日本経済新聞が2026年5月1日に報じたところによれば、トヨタ自動車はインドで新たに三つの完成車工場を立ち上げる。2030年代には、生産規模を現在の3倍にあたる年100万台まで引き上げる考えだ。

 新しい工場はインド国内での販売だけでなく、中東やアフリカへ向けた輸出の拠点としての役割も担うことになる。トヨタにとってのインドは、もはや成長が期待される一市場にとどまらない。世界中へ車を送り出す供給源としての立ち位置を固めようとしている。その裏側には、特定の国への依存を避けるリスク管理や、既存の枠組みに頼らない新興国中心のつながりを作り上げようとする強い狙いが見て取れる。

 同じくインドを重視するスズキも、生産能力の大幅な増強に動いている。現在の年260万台から、2030年度以降には年400万台まで引き上げる計画を掲げた。インド国内の需要を満たしつつ、輸出拠点としての機能をさらに広げていく構えだ。すでに2025年には北部ハリヤナ州で新工場を稼働させており、2029年までには西部グジャラート州でも新たな拠点を立ち上げる予定である。アフリカや中東向けの輸出は勢いを増しており、2024年度の出荷台数は過去最高の33.3万台を記録した。

 インドを戦略的な拠点に据え、アフリカなどのグローバルサウスで攻勢をかけるトヨタとスズキ。両社がどのような背景からこの道を選び、日本メーカーとしてどこに勝機を見出そうとしているのか。その実像を追ってみたい。

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