「中国勢には負けられない」――トヨタが投じる3000億円、「カローラSUV」で築くインド“対中要塞”
中古車資産の信頼を基盤とした新車市場の創出

トヨタやスズキが熱い視線を送るアフリカ市場。そこには爆発的な人口増加にともなう、新車需要の広がりが期待されている。
もっとも、アフリカ54か国は多様な民族や政治体制、独自の法規制を抱えており、市場の環境が急に変わってしまうリスクとも背中合わせだ。現状では新車よりも中古車が圧倒的に流通しており、人口が増えてもすぐには新車販売に結びつかない課題も横たわる。価格の壁やお金を借りる仕組みの未整備、さらには所得の格差といった要因が、新車が広まるのを邪魔している側面は否定できない。こうしたなかで商機を広げるには、販売網を築くだけでなく、ローン制度や修理体制といった仕組みを丸ごと整えていくことが求められる。
数字を追うと、アフリカの全人口は約15.5億人に対し、新車市場は年140万台ほどにとどまる。特に全人口の7割にあたる約11億人が暮らすサブサハラ地域では、新車の販売は年に20万台に過ぎず、中古車が経済の主役だ。これとは対照的に、南アフリカ周辺や北アフリカの新車市場はそれぞれ年60万台と群を抜いており、大陸全体の需要を支える形となっている。
スズキが目を向けるサブサハラ地域の人口は、2030年に約14億人、2050年には約21億人まで増える見込みだ。ここですでに日本の中古車が浸透している事実は、日本車が価値の落ちにくい確かな資産であるという認識が現地で根付いていることを物語る。
メーカーが現地政府に対し、中古車の輸入規制を働きかける動きも見られる。これは単に新車を売りたいというだけでなく、現地での産業を育てて外貨の流出を抑えたいという、国の利益とも歩調を合わせた粘り強い交渉の一環だろう。特に右ハンドルの国が多い東部では、日本仕様への信頼がそのまま参入しやすさにつながっている。
一方で公共交通が足りない西・中央地域では、タクシーやライドシェアのように「稼ぐための道具」として、燃費が良く壊れにくい車が生活を支える足として欠かせない。中古車の流通で積み上げてきた信頼を土台に、金融サービスを組み合わせて新車市場を作り出していくことが、成長を取り込むためのわかれ道となるはずだ。