「中国勢には負けられない」――トヨタが投じる3000億円、「カローラSUV」で築くインド“対中要塞”
物流の壁を崩す日系二社による中国勢への対抗

トヨタとスズキは、インドに築いた拠点を足がかりにアフリカでの攻勢を強めようとしている。インドが輸出の拠点に選ばれた背景には、地理的な利点が大きい。インド洋に面するこの国は、中東や東南アジアに近いばかりか、アフリカへの距離も驚くほど近い。日本からアフリカを目指すと直線距離で約1万2000kmにおよぶが、インドからなら約6000kmと半分で済む。海の道を見ても、日本から南アフリカまでは約40日かかるものの、インドからなら約14日。この物流の速さは、製品の値段を抑え、市場の動きに素早く合わせるための力強い支えとなる。
両社の結びつきは、インドでの歩みを経て、今やグローバルサウス全体を包み込む協力関係へと育ってきた。トヨタが進める生産体制の底上げは、スズキとの連携をアフリカで最大限に活かすための準備ともいえる。とりわけ、互いの持ち味を補い合う車種の構成がうまく回り始めている。スズキが得意とするコストを抑えた車をトヨタの銘柄で送り出す仕組みは、開発の負担を減らしながら、広大な新興国市場をすみずみまで満たしていくはずだ。
こうした連携は、手ごろな電気自動車を手に市場へ入り込む中国メーカーを迎え撃つ手立てにもなる。スズキが磨いてきた軽やかな車体作りや量産の知恵に、トヨタのハイブリッド技術と盤石な売り場を掛け合わせる。そうすることで、価格の安さを売りにする中国勢にも引けを取らない強みが生まれる。
日本車が長い年月をかけて育んできた「壊れにくく、長持ちする」という評価は、中古車が街に溢れている事実が何より証明している。この積み重ねてきた信頼を追い風に、中古車から新車へ、さらには環境に優しい車へと乗り換えを促す流れを作っていく。トヨタがインドで年100万台規模の体制を整える決断は、未来の巨大市場で、作る、運ぶ、直すといったあらゆる面で主導権を握るための確かな一歩だ。インドを中心としたこの仕組みが、これからの世界の勢力図を塗り替えていくのかもしれない。