「中国勢には負けられない」――トヨタが投じる3000億円、「カローラSUV」で築くインド“対中要塞”

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インドで年100万台体制へ。トヨタ自動車とスズキが生産・輸出・販売網を一体化し、約15.5億人のアフリカ市場を狙う。距離半減の物流優位と中古車起点の信頼を武器に、新興国主導の供給網再編が加速する。

東西二眼体制による安定供給とPHV戦略

Toyota Kirloskar Motor(インド・バンガロール近郊)(画像:インド・トヨタ)
Toyota Kirloskar Motor(インド・バンガロール近郊)(画像:インド・トヨタ)

 トヨタは目指す場所をインド南部からさらに広げようとしている。現在、バンガロール近郊に構えるふたつの工場では年間に約34万台を生産できるが、これに加えてカルナタカ州政府と進める新工場が年内に動き出す。投じる費用は約330億ルピー(約550億円)にのぼり、これにより生産能力は約44万台まで底上げされる見込みだ。ここではミニバンの「イノーバ」や「カムリ・ハイブリッド」に加え、スズキから供給を受ける「アーバンクルーザー・ハイライダー」などの生産を続けていく。

 成長の勢いをさらに加速させるのが、インド西部マハラシュトラ州での新展開だ。トヨタはここに三つの工場を新しく作り、総額3000億円規模を投じる決断を下した。2029年に最初の工場が稼働し、2030年代にかけて残るふたつの拠点も順次立ち上がる予定である。

 注目すべきは、世界中で親しまれてきた「カローラ」の名を冠したスポーツタイプ多目的車(SUV)を投入する点だろう。インフラが十分に整っていない地域でも使い勝手に優れるプラグインハイブリッド車(PHV)を中心に据え、実用性と利益率を高い水準でまとめあげることで市場を動かしていく。

 マハラシュトラ州は貿易の拠点であるムンバイ港を抱えており、輸出を効率化して物流費用を抑える狙いも透けて見える。インドの南部と西部の両方に大きな拠点を構えることは、国内で万が一の事態が起きた際にも供給を止めない体制づくりに結びつくはずだ。最終的にインド国内の工場は六つに増え、生産能力は現在の3倍となる年100万台にまで膨らむ。これはトヨタの海外拠点として中国、米国に次ぐ3番目の大きさとなる。世界3位の市場規模を誇るインドで、その需要を余さず取り込むための盤石な土台がいよいよ整うことになる。

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