「中国勢には負けられない」――トヨタが投じる3000億円、「カローラSUV」で築くインド“対中要塞”
インドで年100万台体制へ。トヨタ自動車とスズキが生産・輸出・販売網を一体化し、約15.5億人のアフリカ市場を狙う。距離半減の物流優位と中古車起点の信頼を武器に、新興国主導の供給網再編が加速する。
生産財としての小型車と鉄壁の保守ネットワーク

スズキもインドでの事業を足場に、アフリカ戦略を一段と強めている。グローバルサウスへの広がりを急ぐ同社は、2030年度までに市場シェア10%、販売台数15万台という目標を掲げた。アフリカにおける販売の伸びは目覚ましく、2025年には12万7000台を売り上げ、シェアは9%まで上昇している。2024年度の時点で、すでに5か国で首位に立ち、8か国で10%以上のシェアを握るまでになった。現地で走る15車種以上の車両は、そのほとんどがインドから送り出されたものだ。
成長を後ろ盾しているのは、車を所有者の生活を支える道具として根付かせた点にある。ライドシェアやタクシーとしての需要を捉えた低燃費でタフな小型車は、現地の経済活動に欠かせない生産財としての側面を強めている。こうした実用重視のモデルに加え、豊かになりつつある層に向けたSUVの展開を重ねることで、市場での立ち位置をより確かなものにしている。
他社を寄せ付けない強みは、その圧倒的な販売網の広さにあるだろう。2026年3月の時点で、アフリカ54か国のうち51か国に代理店を広げ、販売拠点259、サービス拠点379を築き上げた。これほど緻密に張り巡らされたネットワークがあれば、故障の際の修理や部品のやり取りも滞りなく行える。
インドで培った保守や供給のノウハウをそのままアフリカへ持ち込み、南アフリカを軸にサービス体制を磨き上げている。今後はナイジェリアやエチオピアなど、経済成長が期待されるサブサハラ地域を重点的に攻める構えだ。現地の公共交通を支える法人や政府との取引も含め、スズキの存在感はさらに増していくに違いない。