月極駐車場「EV充電器導入」は本当に割に合うのか? 初期費用「200万円」が突きつける、インフラ投資の静かな矛盾
EV普及は加速する一方で国内登録は1.6%にとどまり、充電インフラ整備が政策主導で進むなか、月極駐車場は200万円規模の投資と収益性の狭間で“設備導入の現実解”を迫られている。
需要制約と付加価値化する駐車場機能

設置してすぐに利益を出すことが難しい充電スタンドは、収益源というより物件の魅力を保つための備えとしての性質が強い。設備を整えることで利用者の利便性が高まれば、他へ客が流れるのを防ぐことにつながる。スマートフォンを外でしか充電できない生活が不便なのと同様に、EV所有者にとって駐車スペースで充電できる環境は、物件選びの最低条件になりつつある。
日産自動車が2023年に行った調査では、EV購入をためらう理由の1位が「自宅で充電できないこと」で、56.3%を占めた。特に集合住宅では、82.3%もの人が自宅に充電環境がない、あるいはわからないと答えており、隠れた需要は小さくない。こうした実態を反映し、国の補助金も2025年度からはマンションの管理組合を支援の枠組みに入れている。
近隣の住宅に充電設備が足りていないなら、導入した月極駐車場は今の客を逃さないための武器になる。以前なら他との違いを作るための要素に過ぎなかったが、これからは設備がないことが選ばれない理由になる恐れもある。
目先の収益を追うのは難しくても、不動産としての価値を守るための投資として、その重みは増しているのだ。