月極駐車場「EV充電器導入」は本当に割に合うのか? 初期費用「200万円」が突きつける、インフラ投資の静かな矛盾

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EV普及は加速する一方で国内登録は1.6%にとどまり、充電インフラ整備が政策主導で進むなか、月極駐車場は200万円規模の投資と収益性の狭間で“設備導入の現実解”を迫られている。

初期投資負担と収益性の制約条件

EV充電スタンドを設置した場合の利益の試算(画像:ミライズエネチェンジ)
EV充電スタンドを設置した場合の利益の試算(画像:ミライズエネチェンジ)

 結論からいえば、月極駐車場のオーナーが充電器の全面的な整備を急ぐ合理性は、今のところ乏しい。最大の壁となるのは初期投資の重さだ。

 普通充電器の場合、機器代に70万円、工事に130万円、合わせて200万円前後の資金が必要になる。300万円から1000万円を要する急速充電器と比べれば手頃に見えるが、200万円という持ち出しは経営上の負担として決して軽くはない。

 補助金を使えば手元の出し分を抑えられるが、実際の現場では理屈通りにはいかない。電気を引き込む距離や場所の広さ、建物の条件次第で、工事費が予想外に跳ね上がるケースは多い。特に見落とせないのが電力を多く使うための契約変更だ。一度に何台も動かすとなれば基本料金が大幅に上がり、せっかくの収益が吹き飛んでしまう懸念が残る。

 儲けの仕組みは、利用者からの充電代か、場所貸しの賃料となる。仮に1時間300円の料金で1日3時間使われたとしても、月の利益は1万2000円。ここからさらに電気代や決済の手数料を払わなければならない。高い利回りを望むのは難しく、元を取るまでに何年もかかる上、その間に新しい規格が登場して設備が使い物にならなくなるリスクも孕んでいる。

 今は無理をして全区画を埋める段階ではなく、将来に備えて配線を通しやすくしておくような準備が堅実な判断といえる。

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