「中国勢にはもう勝てないのか」 世界の企業幹部1000人が打ち明けた「SDV開発」の重い現実――再利用率48%が示す競争条件の変化

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アリックスパートナーズ調査は、SDV開発で中国が内製化41%・再利用48%と先行し、日米欧韓は25~37%にとどまる実態を提示。1002人調査が示す主導権移行。

組織設計と資本回転速度の非対称性

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 今回の調査結果を俯瞰してみると、そこにあるのは技術の優劣という表面的な話ではなく、開発の出発点となる条件そのものが、地域ごとに大きく異なっている実態が浮かび上がる。組織のあり方ひとつをとっても、中国が高い内製化率を背景に判断の多くを社内に集約させているのに対し、米国、欧州、日韓は依然として

「外部への依存度」

が高い。これまでのやり方を保ちながら分散した体制を続ける他地域とは対照的に、中国は資金を素早く回して開発の回転を上げている。日米欧は過去の資産への投資が重荷となり、どうしても動きが鈍くなっているようだ。

 ソフトウェアの組み立て方においても、その思想の差は鮮明だ。中国が何よりも更新のしやすさを重く見ている一方で、日米欧は過去の部品とのつながりや安定を優先している。未完成に近い状態でもまず市場に出し、その後に改良を積み重ねていく中国。対照的に、最初から完成度の高さを求めるあまり歩みが遅くなる他地域。この対比は、利益を得る手法にも表れているだろう。中国が車の機能を組み合わせて新しい収益の形を模索しているのに対し、日米欧はいまだに従来の販売方法に新機能を付け加えるという試行錯誤の途上にある。

 こうした状況を踏まえると、向き合うべき論点はいくつかに絞られる。今ある設備や部品を使い続けることを優先するのか、それとも投資効率を高めるためにそれらを見直すのか。工場を出た時点を完成形とする製品を売るのか、あるいは納車後も中身が変わり続けるものを届けるのか。そして、自らの体制をソフトウェア中心の形へと移すのか、製造業の延長線上で進むのか。これらは、今後の生存を左右する問いになるだろう。

 日米欧の歩みは、これまでの自動車という枠組みを磨き続ける道に近い。対する中国は、車を巨大な計算の仕組みの一部と捉え、外の環境に合わせて中身を入れ替え続ける方向へとかじを切っている。先に触れたソフトウェアの再利用率において他地域が低水準にとどまっている事実は、これまでのやり方を守ろうとする姿勢が、新しい形への移行を遅らせている現状を物語っている。

 どちらの道が残るのか。それは技術の差というより、市場がこれからどのような形を求めていくのか、その一点にかかっているのではないか。

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