廃止か、国の関与か? JR北海道「赤字900km」と上下分離が突きつける制度の限界

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営業距離の4割超、約900kmに及ぶ黄8線区が揺れる。JR北海道は147億円の赤字を抱え、収入825億円に対し費用1513億円という厳しい構図だ。基金で穴埋めする経営は限界に近づき、上下分離や廃線を巡る議論の先に、国と地域の負担のあり方が問われている。

二島会社の限界露呈

日本の鉄道網と維持への展望。
日本の鉄道網と維持への展望。

 今回のJR北海道の動きは、二島会社が直面している限界が表に出てきたことを示すものだ。いわば転機の到来を知らせる動きである。国鉄改革は経営の効率化という点で大きな成果を上げたが、その一方で「維持が難しい路線の費用を誰がどの段階で負担するのか」という問いを、基金という期限のあるしくみで覆い隠してきた。

 いま起きている事態は、地方路線の採算の問題にとどまらない。筆者(ウォン・ライ、モビリティ経済ジャーナリスト)が示す「国の戦略としてのインフラの立て直し」という考えと、反対意見が示す「納税者の公平と安全を重んじる現実的な考え」という、相いれないふたつの立場が正面からぶつかっている状況である。

 この対立を解くには、助成金を増やすだけでも、機械的に廃線を進めるだけでも足りない。「移動の権利を支える費用を、誰がどの範囲で受け取り、負担するのか」という新たな社会の取り決めをつくり直すことが欠かせない。

 いま問われているのは「鉄道をどう残すか」という技術の問題ではないだろう。国鉄改革から40年がたち、民営化という考えの限界を認めたうえで、国による広い範囲での支えと地域による暮らしに合った最適化を対立としてではなく、組み合わせてどうまとめるかである。この転機は、日本の国土のあり方を見直すうえで避けて通れない出発点となるだろう。

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