逆転への執行猶予は3年? 欧州の自動車産業、巨額罰金回避でも残る“制度頼みの限界”とは

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EUのCO2規制で2025年に15%削減目標を迫られる欧州自動車産業。BEV比率14%未満の低迷と最大160億ユーロ罰金リスクの中、規制は3年平均評価へ修正されたが、構造課題は残る。揺れる電動化移行局面

規制緩和と先送りされた課題

欧州自動車産業の岐路と課題。
欧州自動車産業の岐路と課題。

 3年平均方式の導入により、2025年の危機はひとまず回避された。産業側の強い要望をEUが受け入れた形だ。もっとも、2030年には2021年比で55%削減という、より厳しい目標が控える。今回の見直しはあくまで移行期間の措置であり、長期目標に向けた投資余力を維持するための時間稼ぎにすぎない。

 焦点は、この猶予期間中に構造的な課題を解消できるかにある。電力の価格格差は再生可能エネルギーの普及で縮小する可能性はあるが、ウクライナ危機以降に拡大した差を短期間で解消する見通しは立っていない。資源調達先の多角化も、代替の供給網を構築するには数年単位の投資と時間を要する。

 メーカーは収益源である内燃機関車やハイブリッド車(HV)事業を維持しつつ、採算性の低いEVへの巨額投資を継続しなければならない。この二重の負担は開発効率を低下させ、欧州勢の競争力を削ぐ要因となっている。

 目標数値だけが先行し、産業基盤の整備が追いつかない状況は2030年に向けても続く恐れがある。電力コスト、資源依存、中国との競争という課題は2035年の目標達成に向けても残存する見通しだ。掲げる理想と産業の実態をいかに整合させるか。欧州の自動車産業は引き続き、困難なかじ取りを迫られている。

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