英国を飲み込む「赤い旋風」――老舗自動車メーカーを震え上がらせる「中国勢」の物量作戦、EV価格逆転とトップ10の半数支配
英国でEV価格がガソリン車を下回った。平均価格差は785ポンド(約17万円)。背景にはZEV規制と平均11.7%の異例値引きがあり、中国勢の供給攻勢と在庫13%増が市場構造を揺さぶっている。
データが示す現状

Auto Traderの統計によると、新型EVの平均価格がついにガソリン車を逆転した。
前述のとおりその差は785ポンド。この逆転劇は、政府による補助金だけでなく、メーカー側が繰り出すなりふり構わぬ値引きによって引き起こされた。市場全体の値引き率が10.0%にとどまるなか、EVに限れば11.7%という異例の割引水準にある。価格を決める主導権は、もはや作り手ではなく、買い手の手に移ったといえるだろう。
消費者の反応も敏感だ。同サイトでの車両検索数は前年よりも21%伸びた。ちょうど4月は、英国で新しいナンバープレートが導入され、買い替え需要が膨らむ時期でもある。価格差が逆転したことで、消費者の
「損得勘定」
を動かす決定的な一線を超えたのかもしれない。市場の顔ぶれも激変している。最も売れ筋とされるモデルのトップ10を覗くと、驚くべきことにその半数以上を、JaecooやMG、Omodaといった中国ブランドが占めている。EV部門ではルノーの「5 E-Tech Electric」が首位を守ったが、2位と3位には中国資本のモデルがぴたりと背後につけている。
ブランド別の勢力図を見ても、その傾向は鮮明だ。EV需要ではMGがシェア11.7%でトップに立ち、ルノーや起亜を上回る。ガソリン車を含む総合ランキングではBMWが首位を維持しているものの、2位には再びMGが食い込んだ。ランドローバーやフォルクスワーゲンといった欧州の老舗勢を、新興の勢力が脅かす構図が、今まさに形作られようとしている。