「その運賃では受けられません」 これからは運送会社が「荷主」を選ぶ時代へ! 取引記録「2年間」が突きつける口約束の限界

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2026年1月施行の取適法は、運賃据え置きや未払い慣行を禁じ、取引の「結果」から「過程」へ監視を転換した。60日以内支払い義務や記録保存など新ルールの下、荷主主導の構図は崩れ、物流と産業の前提が大きく変わり始めている。

特定運送委託の新設

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「特定運送委託」という枠組みが新たに設けられたこと。これこそが、取適法のなかで最も注視すべき変化だろう。これまでの旧下請法では、主に運送業者同士のやり取りが監視の主眼だった。しかし新法では、荷主が運送会社へ直接依頼する取引も、その網のなかに組み込まれた。

 物流の実務を外部に任せることで、責任から目を背けてきた荷主も、もはや無関係ではいられない。サプライチェーンの頂点に立つ企業が、末端でハンドルを握るドライバーの労働環境にまで目配せをする。そんな時代が、いよいよ幕を開けたといえる。

 具体的に、どのような振る舞いが問題視されるのか。そこには大きく分けて三つの論点がある。

 ひとつは、運賃の据え置きだ。燃料費や人件費が膨らむなかで、まともな話し合いもせずに、かつての金額を押し付け続けることはもう許されない。

 次に、交渉そのものを拒む姿勢だ。運送会社から条件の見直しを求められた際、正当な理由もなく突っぱねる行為は、明確に法に背くものとなる。

 そして、契約にない作業や長時間の待機に対する「未払い」である。これまでは現場の慣習として、なかば当たり前のように無償で行わせてきた作業。これらもまた、正当な対価を支払うべき業務として扱わなければならない。

 政府のメッセージは明快だ。荷主が現場に一方的な負担を強いることを禁じ、輸送を維持するために必要なコストは、企業活動全体で分かち合うよう求めている。自社の利益を守るために運送業者を追い詰めるような手法は、いまや法を破る行為として厳しく断じられるようになった。

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