EVの限界を揺るがす「走るほど充電」の仕組みとは? 回転式試験機と3kW走行中ワイヤレス給電が示す、EV開発の転換点
EV普及の壁とされる電池コストや走行距離不安に対し、走行中ワイヤレス給電が現実解として浮上。東京都立大が開発した回転式試験機は3kW伝送と時速40km再現を可能にし、都市実装と参入拡大への道を開いた。
走行中給電が変える価値の置き場

走行中給電の広がりは、自動車の価値そのものの見え方を変えつつある。
これまで車両価格の中心にあった電池への投資は、徐々に道路側の仕組みを整える方向へと重心を移し始めている。この回転式の試験機が示したのは、資金力のある一部の企業に限らず、異なる技術を持つ主体が次の基準づくりに関わる余地が開かれているという点だろう。
3kWの電力伝送と時速40kmでの安定した動作は、都市部への導入が現実の射程に入っていることを裏づけている。道路そのものが電力を供給する場へと変われば、輸送の収支の組み立ても大きく変わる可能性がある。
物流の現場で充電待ちが解消されれば、人手不足やコスト上昇といった課題にも少なからず影響が及ぶはずだ。こうした領域では、日本が持つ工学の蓄積をどう束ね直すかが、競争力を左右する要素になっていく。
いま起きている変化は、移動手段としての性能を競う段階から、社会の仕組みとどう結びつくかを競う段階へと移りつつある流れともいえる。この転換をどの速度で捉え、具体的な形へ落とし込めるかが、今後の産業の力を分けていく条件になっている。