EVの限界を揺るがす「走るほど充電」の仕組みとは? 回転式試験機と3kW走行中ワイヤレス給電が示す、EV開発の転換点

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EV普及の壁とされる電池コストや走行距離不安に対し、走行中ワイヤレス給電が現実解として浮上。東京都立大が開発した回転式試験機は3kW伝送と時速40km再現を可能にし、都市実装と参入拡大への道を開いた。

回転式試験装置が広げる開発環境

「動的無線電力伝送の回転式実験システムの解析、設計、および実証」(画像:IEEE Open Journal of Vehicular Technology)
「動的無線電力伝送の回転式実験システムの解析、設計、および実証」(画像:IEEE Open Journal of Vehicular Technology)

 東京都立大学の研究チームが、2025年12月に「IEEE Open Journal of Vehicular Technology」で発表した成果が注目されている。

 研究開発に参加できる主体を広げることを狙ったもので、EVが送電側の上を高速で通過する状況を再現できる回転式の試験用の仕組みだ。

 これまで必要だったのは、広い土地と多額の費用を投じた専用の実験路だったが、この方法によって小規模な組織でも精度の高い検証が行えるようになる。開発の偏りを和らげ、業界全体の底上げにつながるとみられている。

 この仕組みでは、電力を受ける側を取り付けたアームを高精度のモーターで回し、その下に道路側の送電環境を模した特殊な形状のコイルを並べる。事前の計算では、回転する動きであっても、直線の道路と同じ強さの電磁場を再現できることが確認された。さらに、時速40kmまでの動きを再現した際の機械への負荷も検証している。

 この速度域は都市部の物流や公共交通の実態に近く、宅配や短距離輸送を担う車両の実用化に直結する内容だ。あわせて、実際の道路で起きる位置のずれが電力の伝わり方にどう影響するかも分析できるようになった。こうした成果は、量産に向けた品質の確認や、国際的な基準づくりに必要な裏付けとなるデータを与えるものだ。

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