「廃業も視野に入れています」“令和のオイルショック”直撃――食料インフレの震源はどこまで拡大するのか?
「食べチョク」調査(生産者267人)で、3分の2が既に影響、要因の9割近くが燃料費。8割以上が事業継続に不安、4割は深刻と回答。価格転嫁困難のなか、「令和のオイルショック」が一次産業の収益構造を直撃している。
制度転換と価格反映

「令和のオイルショック」は、これまでの産業の在り方を見直す契機としなければならない。行政が取り組むべきは、運送業で導入されている燃料サーチャージを、生産や出荷の現場にも広げることである。燃料や資材の価格変動を取引価格に反映させるための公的な基準を整え、弱い立場の生産者が過度な負担を負わないよう、法の枠組みを強める必要がある。
事業者は、個別配送の非効率さを認め、複数の生産者が拠点を共有する共同集荷や共同配送を標準的な形にするべきだ。加えて、データに基づく需要の見通しを行い、無駄の少ない計画的な生産と出荷へと移る必要がある。さらに、産直サイトなどを通じて費用の内訳を明らかにし、コストの変化を価格に反映できる予約販売の仕組みを広げることが求められるのだ。
消費者にできることは、調査で多く挙がった1~10%程度の値上げを、供給を保つための費用として受け止めることだろう。選ぶ基準を価格の安さから、将来も供給が続くかどうかへと移す必要がある。
化石燃料への依存を減らせないまま、費用の上昇を価格に反映させない構造は、10年以内に成り立たなくなる可能性が高い。8割以上の生産者が抱える経営不安を放置すれば、将来の供給不足は避けられない。今、適切な対価を支払うことは、5年後、10年後の食卓を守るための負担でもあるのだ。