「車内置き去り事故」に潜む楽観バイアス! 対策ゼロが8割という現実、なぜ悲劇を知りながら備えないのか
子どもの車内置き去り事故をめぐり、送迎バスでは義務化が進み、全国5万台超の導入が進む一方、乗用車では対策はなお途上にある。調査では91.6%が認識しながら78.9%が未対応という乖離も明らかになり、技術と行動のずれが課題として浮かぶ。
欧州基準強化と競争圧力

送迎バスでの義務化が進む一方で、台数が圧倒的に多い乗用車への対策はまだ十分とはいえない。欧州の新車安全評価「Euro NCAP」は2023年から幼児置き去り検知システム(CPD)の試験を始め、2025年以降は最大4点の配点へと評価を強めた。この基準の見直しは、欧州市場で競争力を保つうえで事実上の条件となっており、各社は対応を急いでいる。安全性能の評価が販売台数に結びつく欧州の仕組みが、技術開発の速さを引き上げている。
ミネベアミツミ(長野県御代田町)は、2023年の「JAPAN MOBILITY SHOW」で超広帯域無線(UWB)レーダーを用いたCPDを公開した。呼吸にともなうわずかな体の動きまで捉え、毛布をかぶった状態でも見逃さない精度を持つ。この仕組みは、既存のデジタルキー用の機器を活用できるため、部品の追加を抑えつつ機能を実装できる点が特徴だ。機器を共通化することで、製造費を抑えながら機能を高めることにつながる。
村田製作所(京都府長岡京市)は、車載Wi-Fiの電波を使った検知技術を共同で開発した。Wi-Fi電波の反射の変化を分析することで、数cm単位の動きや呼吸を捉えることができる。既存のWi-Fi環境をそのまま利用できるため、追加の機器を増やさずに機能を持たせることが可能になる。これは、追加の物理的な負担を抑えながら機能を広げるソフトウェア中心の流れに沿った方法であり、価格の低い車への広がりを後押しする要因となる。
こうした検知技術は着実に進んでいるが、すべての車両に標準で搭載されるまでにはなお時間がかかる。市場での優位を保つための技術競争が続くなかで、費用を抑えつつ広く機能を行き渡らせる方法が、各メーカーにとって重要な課題となっている。