日本のガソリン価格と生活を直撃! ホルムズ海峡の通過は2週間で10隻以下、供給網の脆さがノズルの先で牙をむく
価格高騰と供給制約

3月9日時点の全米平均ガソリン小売価格は1ガロン3.633ドルに達した。2月23日の3.072ドルからわずか2週間で18%の上昇だ。家計の移動余力は直接奪われ、人々の外出も鈍る。2026年2月の米国ガソリン需要は日量855万バレル、推定走行距離は86億マイルに留まり、2020年2月比で約5.5%減少した。
一方で、産業や物流を支える留出油の需要は堅調だ。2月の米国留出油需要は日量419万バレル、前年比4.7%増。寒波による暖房用燃料の消費拡大と在庫補充が背景にある。ジェット燃料も高止まりが続き、移動と暖房という限られた資源の奪い合いが生じた。
供給ルートの混乱は製油所にも影響した。2月後半、米国内の複数製油所が設備不具合で停止し、精製量が減少した。イラク南部では主力油田の出荷が困難となり、原油生産は日量130万バレルまで70%減少した。
中国も動きを加速させる。2026年1~2月の原油輸入は日量1203万バレル相当(9693万トン)、前年同期比16%増。輸出・輸入とも伸び、経済活動と資源確保が世界的な需給をさらに引き締めている。地下に資源がいくらあろうと、運ぶルートを失えば価値は消える。移動や経済活動の基盤は、資源そのものよりも確実な接続ルートの確保に依存しているのだ。
米大統領が戦争の終結を示唆したことで、原油相場に楽観的な波が広がった。3月9日、トランプ大統領が「戦争は概ね完了した」と発言すると、翌10日の終値は1バレルあたり11.32ドル急落。しかし現場の物理的制約は楽観を許さない。
大統領発言の翌日、3月11日にはホルムズ海峡とペルシャ湾付近で飛翔体が3隻の船舶に命中。12日にはイラク・バスラ港付近でタンカー2隻が攻撃を受けた。イラン新指導部のモジタバ師は、米軍基地への攻撃や海峡封鎖の継続を宣言し、戦闘の長期化も示唆している。紅海入口のバブ・エル・マンデブ海峡封鎖警告や、革命防衛隊の「6ヶ月間の戦闘継続能力」も無視できない。
サウジアラビアが東西パイプラインを日量700万バレルで数日内に稼働させるとしても、航行の安全は保証されない。海峡には十数個の機雷が残り、LNG施設の復旧も数週間から数ヶ月を要する。政治的合意が成立しても供給の即時回復は望めないのだ。
IEAの4億バレル、米国の1.72億バレルといった備蓄放出も、遮断が続く限り一時的なしのぎに過ぎない。ロシア黒海沿岸の石油ターミナルもウクライナの無人機攻撃で積み込み停止。単一の海域閉鎖が世界各地の輸送網に波及し、移動と供給を断片化させる恐れは依然として強い。