レゴランドはなぜ「名古屋港」にあるのか? 320億円の投資が向かった“意外な立地”とは

キーワード :
, , ,
年間乗車人員は約27.6万人から153.2万人へ。物流の終点だった名古屋港・金城ふ頭は、いまや人を呼び込む目的地へと姿を変えた。1億5,000万tを扱う港の基盤は、なぜ観光と交流の拠点へ転じたのか。

中規模テーマパークの位置づけと戦略

レゴランドのタワーから見た名古屋港の夜景(画像:写真AC)
レゴランドのタワーから見た名古屋港の夜景(画像:写真AC)

 金城ふ頭を「モノづくり文化交流拠点」として整備するにあたり、名古屋市が思い描いたのは、ものづくりの魅力に幅広い世代が触れる入口となる場だった。その中核のひとつとして誘致されたのが、前述の「レゴランド・ジャパン」である。レゴはデンマーク発の玩具ブランドで、「Learning through Play(遊びながら学ぶ)」という考え方を掲げてきた。ブロックを組み合わせて形にする体験は、創意工夫の出発点とも言える。

 レゴランド・ジャパンの規模は、日本の大型テーマパークと比べると控えめだ。開業時の建設費は約320億円、敷地面積は約9.3haにとどまる。東京ディズニーランドやUSJが約50ha規模であることを踏まえると、およそ5分の1に過ぎない。USJではスーパー・ニンテンドー・ワールド単体で約600億円が投じられ、東京ディズニーリゾートでも拡張エリア「ファンタジースプリングス」に約3200億円が充てられている。投資の水準には大きな開きがある。

 こうした巨大施設が資金を投じて没入感を高めていくのに対し、レゴランドは別の方向を選んだ。対象を2歳から12歳の子どもを持つ家族に絞り、規模と投資を抑えた中規模施設として運営している。園内には一般的なアトラクションに加え、レゴブロックのワークショップやプログラミング体験が点在する。子どもが自分で考え、試しながら進める余地を残した構成だ。

 こうした内容は、広大な敷地を前提としなくても成立する。この規模感は、金城ふ頭の立地ともかみ合う。都心から距離があり、周囲に工業地帯や物流拠点が広がる環境では、伊勢湾岸自動車道などの幹線道路を使った広域移動や、鉄道との接続が重要になる。滞在時間を数時間に収めた拠点は、周辺観光との行き来も生みやすい。平日は物流やビジネス、週末は家族連れという人の流れを重ねることで、地域の交通基盤の稼働を底上げする役割も担っている。

全てのコメントを見る