「あなたの車も狙われる?」 わずか1.6万円で監視される恐怖──タイヤ空気圧センサーが“発信機”と化す現実とは
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車両のタイヤ空気圧センサーが発信する暗号化されない信号により、2万台以上の車両から600万件の行動データが安価な受信機で取得可能。利便性向上がプライバシーリスクを拡大する現状を浮き彫りにした。
規制の空白

こうしたリスクがあるにもかかわらず、現在の車両サイバーセキュリティ規制では、TPMSの保護性能について具体的な規定は設けられていない。
暗号化や認証がなければ、タイヤ空気圧センサーは容易に追跡の対象となる。IMDEAに在籍していた、現在スイス国防省装備局(Armasuisse)の研究員、ヤゴ・リザリバー氏は
「TPMSはセキュリティではなく安全性のために設計されました。私たちの研究結果はメーカーと規制当局が将来の車両センサーシステムの保護性能を向上させる必要があることを示しています」
と指摘する。
研究チームは、安全を担う仕組みが追跡手段に転用されないよう、メーカーや政策立案者に強固な情報管理を求めている。現行の国際的なセキュリティ基準は、ソフトウェア更新や車両中枢ネットワークを重視しており、末端の無線センサーは監視の網から漏れがちだ。この規制の空白は、将来的な改修費用や損害賠償といった経営上のリスクを企業にもたらす可能性がある。
2026年には米軍によるベネズエラ大統領の拘束が報じられたが、背景には日々の移動ルーティンの詳細な分析があったとされる。重要人物の車両が標的になるのは理解できるが、一般車でも情報の不備が犯罪に結びつけば、製造物責任の範囲が問われることになる。安全向上のための機能が利用者のプライバシーを危険にさらす現状は、電子化が進む社会の大きな落とし穴なのだ。