日本初の「第三セクター鉄道」、補助金が「稼ぎの2倍超え」だった――29年ぶり運賃改定の行方とは

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年間7億円の赤字で29年ぶりに運賃を値上げする三陸鉄道。沿線人口減と震災被害、行政依存の構造下で163km最長路線を維持し、関連事業の収益は全体の10%にとどまる。

輸送人員の4分の1以下への減少

沿線のホテルとコラボしたウエディング列車(画像:みちのりホテルズ)
沿線のホテルとコラボしたウエディング列車(画像:みちのりホテルズ)

 年間7億円の赤字や29年ぶりの運賃値上げを伝える報道には、違和感を覚える人も少なくないだろう。日本初の第三セクター鉄道として開業した三陸鉄道は、当時全国的に注目され、一種のブームを巻き起こし、開業後しばらくは黒字を計上していた。これに続いて全国各地で開業した第三セクター鉄道の多くは、三陸鉄道という成功例を参考にした形である。

 しかし、初期には成功例とされた三陸鉄道も、その後は全国のローカル線と同様に過疎化による沿線人口の減少や少子化による通学需要の減少といった課題に直面した。開業初年の1984年には年間268万人だった輸送人員は、2008(平成20)年度には100万人を下回り、2024年度には60万人まで落ち込んだ。1994年には経常利益が赤字に転落して以降、黒字に転換したことはない。

 さらに三陸鉄道は、2011年の東日本大震災や2019年の東日本台風で大きなダメージを受けたほか、宮古駅近くにあった県立病院の郊外移転も影響した。第三セクター鉄道として最長の163.0kmの路線も、営業費用を押し上げ、赤字の総額を膨らませる要因となっている。

 かつては第三セクター鉄道の成功例とされていた三陸鉄道も、長らく経営の苦境にあるのが実情である。

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