「嫌がらせが怖くて言えない」 中小運送業者に輸送事故を押し付ける“無慈悲な商慣習”――1000万弁済でも現物没収、荷主選別の必然とは
「運送会社に選ばれる荷主にならなければならない」――そんな声が聞かれるようになってきた。だが実現には、現場に根強く残る運送会社への差別的な意識を改めることが前提となる。まずは、飲料業界にいまだ残る構造的な問題を例に考えてみたい。
許可更新制が迫る経営淘汰の時代

運送会社も必死だ。
A社のように「取引を切られると困る」として問題のある荷主との関係を維持できるのは、見方を変えれば、まだ体力が残っている会社だ。近い将来、運送事業許可の5年ごとの更新制度が導入される予定で、更新要件に経営状態を含めるかどうかも検討されている。赤字が続けば、事業許可が取り消される可能性もある。
つまり、たった一度の製品破損事故で利益が吹き飛ぶような取引を抱え続ける余力は、もはや運送会社にはない。
このため、優越的地位を背景に無理な条件を押し付けてくる荷主とは、一定の痛みをともなってでも関係を解消しようとする動きが広がっている。取引先を選ぶのは荷主だけではない。運送会社側もまた、取引先を選別し始めている。
運送会社に選ばれる荷主になる必要がある――この現実を、本当の意味で危機感をもって理解している荷主は、まだ多くないのが実情だ。