「嫌がらせが怖くて言えない」 中小運送業者に輸送事故を押し付ける“無慈悲な商慣習”――1000万弁済でも現物没収、荷主選別の必然とは

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「運送会社に選ばれる荷主にならなければならない」――そんな声が聞かれるようになってきた。だが実現には、現場に根強く残る運送会社への差別的な意識を改めることが前提となる。まずは、飲料業界にいまだ残る構造的な問題を例に考えてみたい。

運送会社を苦しめる環境貢献活動

破損した外装箱イメージ。
破損した外装箱イメージ。

 次は、別の運送会社(B社)の事例である。B社は最近、ある大手飲料メーカーとの取引を見直す判断を下した。

 近年、環境配慮の一環として、包装や梱包資材を減らす動きが広がっている。エコバッグの推奨なども、その延長線上にある取り組みだ。

 清涼飲料の分野では、簡単にへこむ軽量タイプのペットボトルが主流になりつつある。あわせて、12本や24本単位で収納する外装箱も薄肉化が進んだ。資材削減の効果はあるが、その分、強度は落ちている。

 B社によれば、こうした軽量タイプの外装箱に入った飲料を大型トラックで輸送する際、やむを得ず急ブレーキをかけただけで箱が潰れ、破損事故につながるケースがあるという。通常の走行範囲内でも、荷崩れや変形が起きやすい構造になっている。A社とB社の事例に共通しているのは、

「損害の弁済だけを求められ、現物はすべて回収される点」

だ。潰れて中身が漏れた缶やペットボトルの補償であれば、まだ理解できる。しかし外装箱に問題のない製品まで一括で弁済対象とされ、しかも商品は回収されるとなれば、負担は一方的である。

 こうした商慣習は、飲料業界に限った話ではない。

 布団輸送でも似た事例がある。コンテナの雨漏りで積荷の一部が濡れた運送会社が、布団メーカーからトラック1台分すべての布団を買い取るよう求められた。高級品だったこともあり、金額は1000万円を超えたという。しかも現物はすべてメーカー側が回収した。

 この運送会社は、この件を機にそのメーカーとの取引を打ち切った。

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