「威圧感がないのが一番」 女性ユーザー「9割」が選んだ軽ワゴン、なぜ“丸い顔つき”が購買を左右するのか?
軽自動車市場で女性の支持を集めるダイハツ「ムーヴ キャンバス」。新車販売の約8割を軽乗用車が占め、女性購入者は約9割に達する中、丸みあるデザインが心理的安心感を提供し、購買を後押しする重要な要素となっている。
ベビースキーマが引き出す愛着

丸みを帯びたフロントマスクと楕円形ヘッドライトが女性に支持される背景には、心理学で示されているベビースキーマ(ベビーフェイス)効果の影響がある。
これはコンラート・ローレンツが提唱した概念で、身体に対して大きな頭、前に突き出た額、顔の下側に位置する大きな目、丸みのある頬といった幼児的な特徴が、見る側の保護欲求や愛着を引き出す現象を指す。日本心理学会も、大きな目や丸い輪郭が「かわいい」という印象を形作る要素であると説明している。
マーケティングの分野で、この効果は相手の警戒心を解き、親しみや信頼を作り出す有効な手段として取り入れられてきた。大きな目や柔らかな表情を連想させる姿は、穏やかで安心できる存在という第一印象を与え、対象への好意を深める。
車のフロントデザインはしばしば顔に見立てられ、ヘッドライトは目、グリルは口として認識されるため、ムーヴ キャンバスやワゴンRスマイルのように円形や楕円形のライトを備え、角を削ぎ落としたモデルは、見る人に安心感を与えるサインとして受け取られやすいのだ。
こうした愛着を抱かせる造形は、所有者自身の満足度を高めるだけでなく、周囲の歩行者や他車に対しても威圧感を抑える効果を発揮する。生活道路などの身近な環境で、攻撃性を感じさせない表情を持つことは、周囲との円滑な関係を促し、結果として運転中のストレスを和らげることにも寄与している。
このような情緒的な価値は、ユーザーがその車を長く愛用し、再び同じブランドを検討する意欲を高めるなど、企業と顧客の間に継続的な関係を築く土台になっている。