京都駅前、高層ビル解禁へ? 「市民脱出」を止める壁は高さ60メートルかーー1億円マンションとオフィス難の限界

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京都駅前の高さ制限緩和案が議論の焦点に。60mまでの建物容認で民間投資を促す一方、京町家28%減少やオフィス空室率4%以下など、景観と経済のせめぎ合いが浮き彫りになる。

市民の間で賛否両論

京都駅近くに移転した京都市立芸大(画像:高田泰)
京都駅近くに移転した京都市立芸大(画像:高田泰)

 京都駅前は商業施設や観光施設、オフィスなどさまざまな施設が集積し、四条河原町と並ぶ拠点になった。開発が遅れていた駅の東側には、京都市立芸術大が進出し、新たなにぎわいを形成しつつある。

 しかし、駅が整備された当時は市街地の南端だった。東寺や東本願寺、西本願寺が近いものの、京町家は少ない。駅前で客待ちするタクシー運転手(67歳)は「駅前だけならもう少しビルが高くてもええやろ」と意見書案に賛同する。

 京都駅周辺の高さ制限緩和を求める意見書を京都市に提出した京都商工会議所は

「世界から人が集まる京都の玄関にふさわしい姿に見直すべき。有識者会議の結論を期待しながら見守っている」

と述べた。これに対し、駅前地下街の飲食店従業員(48歳)は

「多くの観光客は京都の景観を楽しみにしている。安易に犠牲にしていいものか」

京都ならではの風情を醸し出す京町家は、2009(平成21)年度の約4万7000軒が2024年度に約3万4000軒(28%減)まで減った。「京都駅前で規制緩和すれば、なし崩しに田の字地区へ波及するのでないか」と心配する。

 京都弁護士会は11月、京都中央郵便局の高層化に反対する意見書を松井孝治京都市長や金子恭之国土交通相に提出した。60mの高さが新景観政策を逸脱するなどを理由に挙げ、京都市がこれまで進めてきた高さ制限緩和の動きを

「50年後、100年後を見据えた都市政策より目先の経済的利益を優先した」

と批判している。

 千年の都の景観は市民にとってかけがえがない財産だが、オフィスやマンション不足は早急に対処しなければならない課題だ。パブリックコメントで市民の声はどう出るのだろうか。

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