京都駅前、高層ビル解禁へ? 「市民脱出」を止める壁は高さ60メートルかーー1億円マンションとオフィス難の限界
京都駅前の高さ制限緩和案が議論の焦点に。60mまでの建物容認で民間投資を促す一方、京町家28%減少やオフィス空室率4%以下など、景観と経済のせめぎ合いが浮き彫りになる。
京都駅前の混雑常態化

東京や大阪から列車が到着するたびに、大勢の乗客が駅前にあふれる。京都観光が閑散期に入り、中国人観光客が減ったからか、烏丸口バス乗り場の行列は少し短いが、駅前の混雑は変わらない。年明けの京都駅(京都市下京区)は普段どおりの光景を見せた。
日が暮れたバス乗り場から北側を眺めると、京都タワーのイルミネーションが輝く。高さ31mの9階建て本体の上に、工作物として100mのタワーが設置されている。周辺の建物も京都タワーの本体とほぼ同じ高さだ。
京都市では古くから景観保護のため、木造の塔として日本一高い54.8mの東寺(南区)五重塔以上の建物を建てないことが不文律となっていた。今は地域ごとに高さが制限され、この辺りは上限31m。京都タワーも工作物のタワー部分を除いてこの制限内だが、この風景が将来、変わるかもしれない。
民間投資と景観保護のせめぎ合い

京都市の有識者会議(座長・大庭哲治京都大経営管理大学院教授)は2025年末、
・京都駅烏丸口の駅前広場に接するエリア:上限60m
・その外側と駅南側の一部:上限45m
に規制緩和する意見書案をまとめた。60mは1997(平成9)年に開業し、景観論争を巻き起こした京都駅ビルと同じだ。
有識者会議は2025年4月、京都駅前の20年後を検討する目的で設置された。年末の会議では
「京都独自の景観を保護するため抑制的に考えるべき」
「民間投資を呼ぶには一定の高さが必要」
などの意見が出た。
京都駅周辺は建物の高さや容積などが制限されない国の都市再生緊急整備地域に指定され、駅ビルに近い京都中央郵便局周辺で高さ約60mの複合施設整備計画がある。京都市まち再生・創造推進室は
「近く意見書案を公表してパブリックコメントを募り、年度内に有識者会議の意見をまとめる」
とスケジュールを明らかにした。