脱中国か、それとも中国依存か? ネクスペリア発「自動車産業危機」――半導体・希少金属供給の辛らつ現実とは

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オランダ半導体ネクスペリアの供給停止が欧州自動車産業を直撃。中国依存が浮き彫りとなり、LED制御用半導体の最大4割や水酸化リチウム69%など、代替困難なリスク管理の現実が迫る。

半導体供給を揺るがすネクスペリア問題

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 オランダの半導体企業ネクスペリアを発端とした混乱が、欧州の自動車産業を直撃した。中国企業ウイングテックの傘下にあるネクスペリアに対し、オランダ政府が管理強化に乗り出したところ、半導体チップの供給が止まった。米中対立という地政学的な緊張が、産業の現場に波及した格好だ。

 欧州の自動車産業が使うLED制御向けなどの小信号デバイスは、報道によれば2~3割をネクスペリア製が占める。メーカーによっては依存度が4割に迫るケースもあり、この偏りが「半導体危機2.0」を引き起こした。

 半導体のサプライチェーンは各工程が高度に最適化されており、短期間での組み替えは現実的でない。専門家の間では、半導体以上に深刻なのは希少金属の供給制約だという指摘も出ている。モーターやコンデンサに欠かせない希少金属の鉱石生産では、中国が2023年時点で67.9%を握る。重量ベースでも中国が約24万tで首位、米国は約4.3万tにとどまる。

 供給構造の偏りは著しい。半導体と希少金属の安定確保は、自動車産業の枠を超えた課題になっている。中国とのデカップリング、つまり特定国への経済的・技術的依存を意図的に断ち切る戦略は、これまでも議論されてきた。ただ実際には、代替調達先の確保やコスト増、産業競争力の低下といった負担がともなう。政治的・経済的な代償は大きく、短期で実行できる選択肢とはいい難い。

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