脱中国か、それとも中国依存か? ネクスペリア発「自動車産業危機」――半導体・希少金属供給の辛らつ現実とは
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筆者への反対意見

デカップリングは不可能であり、現実的ではないとする見方も根強い。半導体工場の新設だけでも、多額の資金と長い時間を要するからだ。ラピダスは最先端半導体の国産化を目指し、北海道で工場を建設中だ。2023年時点で官民合わせた投資額は約5兆円に達する見通しで、着工は2023年9月、量産開始は2027年を予定している。構想段階を含めれば、実現までに5年以上かかる計算だ。半導体は「産業の米」と呼ばれるが、自前生産には大きなリスクがともなう。
自動車メーカーにとって、中国市場を失う経済的影響も無視できない。フォルクスワーゲンの場合、2025年第3四半期までの累計販売台数は約219万8800台で、このうち約66万0300台が中国市場向けだった。全体の約3割を占める計算になる。依存度にはメーカーごとの差があるものの、デカップリングを進めるのであれば相応のコストと覚悟が必要となる。
調達面でも課題は多い。新たなサプライヤーを開拓する場合、ディスクリート半導体の品質保証が大きなハードルとなる。自動車は安全要件が厳しく、短期間での切り替えは難しい。既存のサプライチェーンマネジメントと同水準で調達できる体制を整えるには時間がかかり、その過程では供給リスクも避けられない。
一方で、現状の中国依存を前提としつつ、リスクを段階的に管理する戦略も考えられる。たとえば長期契約や共同開発を通じて、供給の安定性を確保することは可能だ。また、中国市場向けの投資や技術共有を維持することで、収益モデルを守りつつリスクを抑える選択肢もある。部分的な依存分散や新規サプライヤー開拓も、品質・コスト・納期のトレードオフを考慮すれば、段階的な戦略として実行できる。
このように、デカップリングが困難な現実を踏まえながらも、戦略的なリスク管理の余地は存在する。