SLだけが「観光列車」ではない――EL・DLを忘れていないか? 盛岡復活が問う「機関車体験の真価」とは

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JR東日本は2029年春、C58形SLを東北・盛岡~一ノ関間で復活運行する。SLは国内外で高い認知度を誇り、東武「SL大樹」では70億円の経済波及効果を記録。希少性と象徴性、EL・DLの静かな旅体験も組み合わせ、観光列車の価値最大化を狙う。

SL復活運転の戦略

SL銀河(画像:写真AC)
SL銀河(画像:写真AC)

 SL(蒸気機関車)列車は観光列車として一定の人気を持つ。近年では東武鉄道の「SL大樹」が運行され、好評を得ている。国鉄時代に始まったSLの復活運転は、JR化後も各地で行われてきた。しかし、メンテナンスの難しさなどから運行を取りやめた事例もある。

 こうしたなか、JR東日本は2025年12月3日、2029年春以降の運行開始を目指し、C58形蒸気機関車を活用した観光列車の検討を開始すると発表した。運行区間は東北本線の盛岡~一ノ関間を予定する。世界遺産・平泉などの観光地を結ぶことで、地域活性化と東北地方へのインバウンド誘致を狙う。

 岩手県でのSL運行といえば、2014(平成26)年4月から2023年6月まで運行された「SL銀河」がある。この列車はC58形239号機が客車をけん引していた。客車は気動車を改造したもので、老朽化により運行を終了した。

 JR東日本は、この機関車を活用してSLを再び走らせる方針である。同社は高崎や新潟エリアでSL運行に力を入れており、東北でも観光列車を復活させ、2029年春からの運行開始を目指すとみられる。

 一方で、SL以外の機関車けん引列車は観光列車として減少傾向にある。

・ディーゼル機関車(DL)
・電気機関車(EL)

をけん引とする観光列車を意識的に運行しているのは、大井川鐵道くらいである。JR西日本では、SLの代走としてDLが走るケースもある。

 JR東日本は2024年11月をもって、高崎支社エリアでのEL・DLけん引旅客営業運転を終了した。これにより、同社の機関車けん引による観光列車は、事実上SLのみとなる。

 観光列車の価値はSLという形式にあるのか。それとも機関車けん引の客車列車という体験全体にあるのか。機関車けん引列車が減少した現在、この問いは改めて浮き彫りになっている。

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