「給油」はもはや“時間のムダ”なのか? 現場の7割が「EVを支持した理由」――人手不足時代の業務効率を考える
調査が示すEV導入の実像

電動車の導入コンサルティングなどを手がけるCUBE-LINX(東京都日野市)は2025年12月17日、「業務でEVを運転する人のEV利用実態と意識に関する調査」を公表した。調査対象は、業務でEVを日常的に運転している20代から50代の男女298人である。本稿はこの調査結果を起点に、電気自動車(EV)導入が物流や営業の現場にもたらす経済的意味を捉え直す。
本稿の論点はCO2削減ではない。焦点は、いわゆる「2024年問題」によって極限まで圧縮された業務時間にある。2024年問題とは、働き方改革関連法の適用により、トラックドライバーなどの時間外労働に上限規制が課され、従来と同じ働き方ができなくなったことで、物流や営業の現場で人手不足や稼働時間不足が顕在化している構造的課題を指す。
EVは
「限られた時間をいかに有効に使うか」
という観点で、業務効率を左右するインフラとして評価すべきフェーズに入っている。
業務時間を侵食する「給油」という損失

まず、EV導入前に感じていた負担を見ていこう。業務でEV以外の車両を運転していた際、ストレスや疲労の要因として最も多く挙げられたのは「給油所へ行く手間や給油作業」で、40.9%だった。「メンテナンスの手間」は37.6%、「エンジンの騒音や振動」は31.5%と続く。「アクセル・ブレーキ操作による足の疲労」「排気ガスの臭い」「車両の振動による身体への負担」も、いずれも20%以上が負担として認識している。
EV導入後の疲労・ストレスの変化では、「変わらない」が32.5%、「やや減った」が31.2%、「大幅に減った」が9.4%だった。一方で「やや増えた」は18.5%にとどまる。「やや減った」と「大幅に減った」を合計すると40.6%となり、EVが業務負荷の軽減に寄与したと感じる人が一定数存在する。
疲労やストレスが軽減した理由として最も多かったのは、「給油所に行く手間がなくなったから」で51.2%だった。「スムーズに加減速できるから」は43.0%、「排気ガスの臭いがしないから」は40.5%と続く。移動そのものに付随していた小さな負担が、確実に削減されていることがわかる。
今後も業務車両としてEVを選びたいかという設問では、「とてもそう思う」が29.9%、「どちらかといえばそう思う」が43.9%だった。肯定的な回答は合計で73.8%に達しており、EVが業務用途として現場に根づき始めている実態が浮かび上がる。
一方、運用面の課題も明確だ。EV運転時の不安として最も多かったのは「バッテリー切れの不安」で52.7%だった。「充電ステーションが見つかりにくいこと」は45.0%、「充電待ち時間が発生すること」は43.3%に上る。EV運用上、最も大きな課題としては「充電スタンドの不足」が23.2%、「充電待ちの発生」が18.8%、「充電時間の長さ」が18.5%だった。インフラ制約がEV活用のボトルネックになっている構図は依然として変わらない。
こうしたデータを踏まえると、見直すべきは
「給油」
という行為である。これまで業務上の当然の作業とされてきた給油は、
・移動の途中で時間を奪い
・集中力を削ぐ
要因でもあった。人手不足と時間制約が常態化する現場において、給油はもはや前提条件ではない。EVの導入は、「給油」を業務プロセスの一部から、明確な経済的損失へと位置づけ直しつつあるのではないか。