最近の国産車はなぜ「慣らし運転 = 不要」と言われるのか? タイヤ&ドライバーに残された、知られざる理由とは

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昭和・平成初期の新車は、納車後約1000kmの慣らし運転が技術と顧客体験を結ぶ必須工程だった。現代ではエンジン精度向上で不要とされる一方、タイヤやブレーキ、サスペンション、そしてドライバーの慣熟が性能と安全を左右する重要な期間として残る。

高性能車の段階的慣らし

「慣らし運転」不要でも“急発進・急加速・急ブレーキ”は禁物?(画像:写真AC)
「慣らし運転」不要でも“急発進・急加速・急ブレーキ”は禁物?(画像:写真AC)

 現在、国産メーカーの多くは一般的な乗用車において、特別な慣らし運転は不要と明言している。

「ごく普通の安全運転を心がければいい」

というスタンスだ。現代のエンジンやパワートレイン部品は精密加工が進み、工場出荷時点で部品の馴染みがほぼ完成しているからだ。

 ただし一部のメーカーは1000km~1600km程度の慣らし運転を推奨しており、国内では方針にばらつきがある。慣らし不要とされる車でも、急発進や急加速、急ブレーキを控えることは勧められている。これはエンジンや駆動系部品を保護し寿命を延ばすための措置であり、安全運転の延長線上にある。

 興味深いのは、高性能車における慣らし運転の位置づけだ。日産GT-Rの場合、500kmまではアクセル半開・回転数3500rpm以下、500~1000kmでは低速ギアでの全開加速を避けるなど、走行距離ごとに細かい指示がある。こうした段階的慣らしは、高性能エンジンやデュアルクラッチトランスミッションの性能を十分に引き出すために組まれている。

 輸入車でも同様だ。ポルシェなどでは取扱説明書に3000km単位の慣らし期間が明記されており、車種や用途に応じて明確な慣らし運転が求められる。この背景には技術的理由に加え、オーナーが車両性能を最大限活用し、安全に運転できる体験を提供するという戦略的意図もある。

 高性能車の段階的慣らしは操作制限ではなく、メーカーが意図した性能と顧客体験を両立させる手段なのだ。

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