EV・自動運転を支える8兆円戦略! NTTが仕掛ける電力×通信×AI統合の全貌とは
NTTは2023~2027年度に8兆円を投じ、IOWNを軸に光電融合や都市OS、省電力データセンターを統合。電力・通信・AIの制約を同時に解消し、EV充電や自動運転を含む都市交通の最適化を狙う。
サステナビリティ戦略の転換

近年のNTTは、従来の通信企業の枠を超え、サステナビリティを軸にした戦略を鮮明にしている。この方向性は、今後の社会インフラ全体、とりわけ自動車・交通の姿にも大きな影響を与える重要な前提となる。
2023年度から始まった中期経営戦略では、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network。NTTが提唱する次世代の通信・情報処理基盤構想)を中心とした
・光電融合(光通信・光デバイスと電気・電子回路・計算機処理を組み合わせて、情報処理や通信の効率を飛躍的に高める技術)
・データセンターの省電力化
・電力需給の最適化
といった大型テーマを掲げた。電力戦略の一環として、
「電気自動車(EV)普及を支える領域」
にも踏み込んでいる。成長領域には2023~2027年度の5年間で8兆円を投じる計画だ。これは従来の年間2兆円規模の設備投資を踏まえると、通信事業では見られなかった大きな金額である。
スマホを中心に拡大してきた通信分野の成長が一巡し、NTTには新たな収益源の確保が求められている。加えて、再生可能エネルギーの変動や電力需要ピークのひっ迫により、国内電力システムは高度な通信制御を前提にしなければ維持できない構造問題が浮き彫りになっている。
こうした事業構造の変化と社会インフラ側の制約の両方を踏まえ、NTTは通信の延長ではなく、新たな価値を創出する社会インフラ事業として、電力・都市・交通領域への取り組みを位置づけている。そのなかでも
「自動車・交通分野」
は、電力、通信、AI計算の三つの制約が最も集中する中核市場だ。IOWN構想の成果が直接的に大きく波及する分野でもある。