EV・自動運転を支える8兆円戦略! NTTが仕掛ける電力×通信×AI統合の全貌とは

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NTTは2023~2027年度に8兆円を投じ、IOWNを軸に光電融合や都市OS、省電力データセンターを統合。電力・通信・AIの制約を同時に解消し、EV充電や自動運転を含む都市交通の最適化を狙う。

通信と電力・モビリティが一体化

IOWNに関するウェブサイト(画像:NTT)
IOWNに関するウェブサイト(画像:NTT)

 NTTが電力やEVに踏み込むのは多角化にとどまらない。電力、交通、データ処理の制約が通信インフラと切り離せなくなり、事業境界が実質的に一体化してきたためだ。

 IOWNが目指すのは通信高速化ではなく、AIやデータセンターの電力膨張、再生可能エネルギーの変動、都市インフラの非効率といった社会全体の負荷を、光電融合とネットワーク最適化によって解決することにある。

 資源エネルギー庁によれば、電力需要は2022年度の0.9兆kWhから2040年度に最大1.1兆kWhまで増加する見通しだ。しかし、老朽火力の更新困難、原発の政治的制約、再エネ変動への対応といった事情により、従来型の電力増強だけでは対応が追いつかない。

 こうした制約下で、NTTイノベーティブデバイスは光電融合デバイスの量産化と、AI向け低消費電力プロセッサの開発を進めている。ネットワーク機器からデータセンターまで、計算資源の電力効率を中長期的に引き上げる基盤技術の確立を目指している。

 自動運転を含む交通のクラウド化は、AIやデータセンターの電力に依存する。これは通信課題であると同時に、交通の課題でもある。

 交通側から見ても、NTTが電力やEVに関与する理由は明確だ。EV化が進む中で決定的なのは車両性能ではなく、どこでどれだけ安定的に電力を供給できるかという系統条件である。自動運転や高度ADAS(先進運転支援システム)は車載計算だけでは成立せず、クラウドAIと低遅延通信が前提となる。次世代の移動手段の基盤はすでに

「電力 × 通信 × AI」

に集中しており、これは自動車メーカー単独では構築できない構造インフラである。

 EVは電力負荷を増やすが、走行していない時間帯は充電タイミングを自由に調整できる。そのため、充電を後ろへ送れる「柔軟負荷」としてピーク平準化に貢献できる。電力システムの最大の課題は供給量ではなく需要ピークであり、EVの充電を深夜や早朝に移すことで、系統の混雑時間帯を避けられる。EVは増えるほど制御可能なリソースに変わる。ここにNTTがEV関連領域に参入する合理性がある。

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