ホンダ「3強」脱落の衝撃――EV偏重&サプライチェーン脆弱化は、日本車産業に何を突きつけるのか?

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世界販売で前年2位の座を失い、ホンダの下半期は166万台、営業利益は前期比55%減の5500億円と低迷。北米依存と半導体供給網の脆弱性が露呈し、スズキが2位に浮上。グローバル戦略の再構築が迫られる。

EV偏重による市場適合性低下

 前述のとおり、半導体を単一企業に依存した影響で、ホンダの2025年度下半期の世界販売は前年同期比14%減の166万台に落ち込む。北米では販売が11万台押し下げられ、営業利益への影響は1500億円に達する。通期の営業利益は前期比55%減の5500億円を予想しており、供給網の脆弱性が明確になった。

 EV偏重戦略は市場適合性を低下させている。北米では共和党政権下でHV需要が高く、EV一本化は適合性を下げる。中国市場でもEV販売は逆風を受け、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドでは低価格小型車需要との不整合が生じている。ホンダの技術多様性は十分に活用できていない。

 強みの活用不足はスズキとの差も拡大させた。インド市場ではスズキが42.8%のシェアを握り、圧倒的な存在感を維持している。一方ホンダは小型車ラインの整理で市場存在感を縮小させた。二輪の収益性は高いが、四輪戦略との連動が弱く、シナジーを生かし切れていない。

「EV全力投資は世界潮流」という主張があるが、国ごとに政策や補助金の方向性は異なり、単一的投資はリスクを増す。半導体不足は不可抗力ではなく、調達先を単一企業に集中させた組織の構造上の問題である。北米集中も短期的合理性はあるが、地政学リスクの大きい現代ではリスクヘッジの欠如につながる。

 ホンダには制度・産業構造・行動の見直しが求められる。部品調達先の多重化や半導体サプライチェーンの地域分散、補助金政策と開発投資の連動、二輪・小型車向け低価格半導体サプライチェーンの独自構築などが必要である。技術研究所の強みを生かすことが成長のポイントとなるだろう。

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