ホンダ「3強」脱落の衝撃――EV偏重&サプライチェーン脆弱化は、日本車産業に何を突きつけるのか?
技術開発の前提条件変化
世界情勢は、自動車メーカーの技術開発の前提条件を大きく変えている。米中対立の深刻化にともない、半導体の輸出規制や投資制限が相次ぐ。
CO2規制の強化も世界的に進むが、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の開発は市場ごとに非対称である。米国では政権によってEV推進の度合いが変化し、政策や補助金の非統一性が単一パワートレイン依存のリスクを増幅させている。
技術面でも開発周期の短縮や投資額の増大が進み、車載半導体の調達は広範囲に分散させ、自律的かつ協調的に管理することが常識となりつつある。車格や燃費、価格帯の差も拡大しており、市場ごとに求められるニーズは多様化している。
高齢者や障がい者向けの運転支援や各種エコ対応など、対応要求も増している。ホンダの停滞は、こうした市場の多様性や危機管理課題への対応力不足を反映している。
ホンダは2040年までに世界販売する新車をEVと燃料電池車(FCV)にする「脱エンジン」を掲げてきた。しかし市場環境の変化により、戦略への疑問も関係者から出ている。特定分野に開発技術を集中させると、複数技術への同時投資が難しくなり、集中外の技術は衰える。
これは全方位戦略を展開するトヨタとの差を広げる結果となった。HVやプラグインハイブリッド車(PHV)など中間技術の開発優先度低下は、政策や北米需要の変動に柔軟に対応しにくくしている。
北米利益への依存は意思決定の制約にもなっている。2024年度の北米4輪販売は165万台で全体の約45%を占め、現地生産比率は70%程度にとどまる。販売と生産の集中化に加え、EV領域への巨額投資が財務を圧迫し、他分野の研究開発を削る悪循環も生じる。
インドやASEAN向け小型車での競争力低下も、グローバル収益の偏りを深める要因である。結果として、ホンダは市場対応力や危機対応力に弱さを抱える構造となっている。